「桃源郷祖谷の山里」は、プロデューサーであるAlex Kerr(アレックス・カー)のもと、祖谷の空き家を利用したステイ事業を柱としたプロジェクトです。それは失われゆく日本の山里の美しさや伝統を、今にあった形で、持続可能なものとして残していこうとするものです。

今、考えてみると、それはギリギリのタイミングだったと思います。

一九七一年、初めて祖谷に僕がやって来た時、昔の生活はまだ残っていましたが、消えゆく間際だったのです。畑で働く人々は草で編んだ蓑を着て作業をしてましたし、家の中ではイロリが実際に使われていました。

今でも祖谷にもどると、世間からはなれて雲の上の世界に入ったような気持ちになります。下の町と平野が、すっかり現代的になっていて、祖谷だけが美しく残っているためにそのように感じるのかと思っていたのですが、どうやら現代だけのことではないようで、江戸時代の石碑にも「祖谷、我阿州(阿波藩)之桃源也」と書いてあり、昔の人にとっても祖谷は桃源郷のような別世界だったようです。

Alex Kerr [アレックス・カー]

米国メリーランド州生まれ。1964年初来日。
少年期に体験した日本の美しさと失われゆく現状を国内外に訴え、次代へ残すべく、文化芸術活動の推進、講演、執筆活動など幅広く行い、日本各地に残る美しい風景と文化を守り伝える事業を推進。
東祖谷に残る古民家を再生、活用する新しいもてなしの形をプロデュース。
著作に「美しき日本の残像、「犬と鬼」などがある。

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alex-kerr.com